社説 20150603 安保法案審議 過剰な制約で「切れ目」作るな

来源:互联网 发布:dns服务器的端口 编辑:程序博客网 时间:2024/06/03 00:31

法律では、できるだけ幅広い選択肢を確保しておく。実際の部隊運用は、安全性の確保や国際情勢を考慮し、慎重かつ抑制的に実施する――。これが安全保障の要諦である。

 与野党は、そのことを念頭に置き、安保関連法案の審議で現実的な議論を深めてもらいたい。

 安倍首相は、自衛隊による他国軍への後方支援が可能になる「重要影響事態」の地理的範囲として中東やインド洋を例示した。

 政府は本来、現行の「周辺事態」も「地理的概念ではない」として、日本周辺以外の有事も該当する可能性があるとの立場だった。

 だが、当時の小渕首相が「中東やインド洋では想定されない」と答弁したため、地理的制約があるとの解釈が広がってしまった。

 資源が乏しい日本にとって、海上交通路(シーレーン)の安全が確保できない場合、経済だけでなく安全保障上の影響も受ける。

 今回、中東などでの危機発生時における後方支援が可能なことを明確化したのは適切である。

 一方で、気がかりなのは、他国領域での集団的自衛権の行使に関して、「ホルムズ海峡(での機雷掃海)以外は想定されない」とする安倍首相答弁だ。首相の国会答弁は重いだけに、自衛隊の活動への過度な足かせにならないか。

 集団的自衛権は、日本周辺での米艦防護や、米国を狙った弾道ミサイルの防衛も対象とする。

 首相は、他国領域での米艦防護について「相当慎重に考えないといけない」と語った。敵のミサイル基地攻撃についても、「法理上はあり得る」としつつ、「(必要な)装備体系を保有していない」と否定的な考えを示している。

 どちらの選択肢も完全には排除していないが、「ホルムズ海峡以外は想定されない」との答弁だけが独り歩きする恐れがある。

 例えば、韓国領海で米軍艦船が攻撃された際、近くの公海に海上自衛隊艦船がいる。韓国から領海内での活動に同意され、海自が米軍を支援する。そんな事例が将来もない、とは言い切れまい。

 自衛隊への過剰な縛りは、事態対処の切れ目をなくすはずの法制に新たな「切れ目」を作り、実効性や抑止力を損ないかねない。

 憲法・法律上は可能な自衛隊の活動でも、政策判断で実施しないことは当然、あり得よう。

 だが、自衛隊は、他国の軍隊と違って、法律の定める行動しかできない抑制的な組織だ。今回の法案以上の歯止めをかけることには極力、慎重であるべきだろう。

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