社説 20150228 水俣条約批准へ 世界の「脱水銀」を進めたい

来源:互联网 发布:淘宝上陆川铁锅能用吗 编辑:程序博客网 时间:2024/06/11 01:33

水銀による健康被害や環境汚染を防ぐ取り組みを加速させたい。

 2013年に採択された「水銀に関する水俣条約」の批准に向け、政府は関連法案を今国会に提出する。水俣病を引き起こした日本は、重い教訓を「脱水銀」に生かしていくことが重要である。

 水銀は、蛍光灯や電池、体温計など、身近な製品に使われてきた。毒性が強く、体内に大量に取り込まれると、手足の震えや運動障害などを発症する。

 石炭火力発電所などから大気に排出された水銀は、分解されずに遠くまで運ばれる。土壌や海に沈着し、生物の体内に蓄積する。

 水俣条約は、水銀の使用や排出を世界的に抑制することが目的だ。一定含有量以上の製品の製造や輸出入を20年以降、禁止する。条約発効には50か国の批准が必要で、既に10か国が批准した。日本も批准を急ぐ必要がある。

 関連法案の特徴は、条約で義務付けられている以上の厳しい規制になっている点だ。20年よりも前に、水銀含有製品の製造・輸出入を禁止する。

 市町村には、使用済み製品を速やかに回収し、適正処理するよう求める。国内では、水銀を使わない製品開発が早くから進んだが、家庭に眠る古い製品も多い。

 水銀含有製品の分別回収を行っている市町村は、約7割だ。分別回収の徹底に加え、店頭回収の拡大など、消費者が利用しやすい仕組みを整備することも大切だ。

 回収された水銀の多くは、アジア諸国などへの輸出に回されている。再製品化の需要があるためだ。輸出量は年間約70トンに上る。

 政府は、回収水銀の輸出も原則禁止とする。今後は国内での処分技術の開発が課題となる。

 大気中への排出抑制も重要である。国内の年間排出量は約20トンで、世界全体の1%程度だが、政府は大気汚染防止法を改正し、新たに排出基準を設ける方針だ。

 条約の対象外である製鉄所には、自主的な取り組みを求める。業界の姿勢が問われる。

 世界的に見ると、途上国の小規模金採掘の現場で大量の水銀が使用されている。鉱石から金を取り出す溶剤として用いられ、約1000万人に上る作業員に健康被害が多発しているという。

 採掘現場からは、大気中にも大量の水銀が排出されている。

 日本など先進国には、途上国での脱水銀を後押しする技術支援が求められる。金採掘に代わる産業育成も必要だろう。

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